2026年施行「取適法(中小受託取引適正化法)」のお知らせ
~中小事業者のための新たな取引ルールが始まります~
2026年1月1日から、「下請代金支払遅延等防止法」は、
「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」へと改正・施行されます。
本法は、原材料費や人件費、エネルギー価格の上昇が続く中で、
取引の適正化を図り、中小事業者が正当な対価を受け取れる環境を整備することを目的としています。
法律名・用語の見直し
取適法では、「下請」という表現を改め、
取引当事者間の関係性をより実態に即したものとするため、
次のように用語が変更されます。
| 旧法 | 新法 |
|---|---|
| 親事業者 | 委託事業者 |
| 下請事業者 | 中小受託事業者 |
| 下請代金 | 製造委託等代金 |
適用対象となる取引の拡大
取適法では、次の取引が対象とされます。
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製造委託
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修理委託
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情報成果物作成委託(プログラム作成、デザイン 等)
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役務提供委託(運送、倉庫管理、情報処理 等)
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特定運送委託(製品引渡しに必要な運送を委託する取引)
適用基準の拡充
これまでの「資本金基準」に加え、
新たに「従業員数基準」が設けられます。
企業の規模をより実態に近い形で把握することにより、
形式的な基準ではなく、実質的に中小事業者を保護する制度設計となっています。
制度上定められた主な義務
取適法では、委託事業者に次の義務が定められています。
・発注内容の明示
取引条件(内容・金額・支払期日等)を、書面または電子的方法により明示。
・記録の保存
取引記録を作成し、2年間保存。
・支払期日の設定
受領日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を設定。
・遅延利息
支払遅延があった場合、年率14.6%の遅延利息の支払。
禁止されている主な行為
制度上、次のような行為は禁止されています。
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受領拒否
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支払遅延
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発注後の減額
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返品
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著しく低い価格での発注(買いたたき)
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物品・サービスの購入強制
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報復的措置
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原材料費の早期回収
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不当な経済上の利益の要請
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不当な仕様変更・やり直し
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協議に応じない一方的な代金決定(新設事項)
支払方法に関する改正点
取適法では、手形による支払は原則禁止となります。
電子記録債権等であっても、支払期日までに満額の現金化が困難なものは使用できません。
銀行振込手数料を代金から差し引くことは、法律上「代金の減額」に該当するため、取適法において禁止される行為とされています。
行政の体制強化
従来の公正取引委員会に加え、
事業所管省庁にも指導・助言の権限が付与されます。
これにより、特定事業者だけでなく、
業界全体への是正指導(面的執行)が可能となり、
制度の実効性が高められます。
まとめ
取適法は、単なる名称変更ではなく、
取引環境を根本から見直す制度改革です。
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適用対象の拡大
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支払方法の厳格化
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価格決定ルールの明確化
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記録義務の強化
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行政の権限拡充
これらを通じて、
すべての取引がより透明で、公正なものとなることが期待されています。
2026年の施行に向け、
制度への正確な理解と対応が重要となります。
中小受託取引適正化法(取適法)のリーフレットはこちら→ 取適法(中小受託取引適正化法)リーフレット
公正取引委員会の特設ページはこちら → https://www.jftc.go.jp/toriteki_2025/